ミュウさん意気地無し
SさんとのGWデートその2。
私のお気に入りの浜辺へ。
「こんなに海っ!」「こんな季節に海に来るなんて、酔狂な人間か地元民しか居ないよ」「うーん。浜辺を歩いたのいつぶりだろう」「海に入ったのはいつぶりかな」と言いながらはしゃぐSさん。
変わってて、不安定で、ネコみたいな私が気に入っている彼の、私へのイジリは愛情表現で、それはちゃんと拾ってあげないといけない。
「私は"酔狂な人間"じゃないですか。失礼な。」と返すと、キラキラした瞳ととぼけた顔を見せてくれる。
潮だまりに居る変な魚を探したり、見たことない気持ちの悪いタマゴや海藻を投げ合って、ビーチサンダル飛ばし競争をして、上空を交差する飛行機を眺めた。
どこかから竹の枝を拾って来たSさんに、イソギンチャクのいじめ方を教えたらつつき回して喜ぶ。
手繋いじゃお!と言いながら指を絡ませてくる彼に「有料ですが、大丈夫ですか?」というと嬉しそう。私のお気に入りのビニールシートで昼寝をしだす。
彼の膝の上にタオルを敷いて私が頭を乗せていると「もっとこっちにおいで」と言いながら抱き寄せられた。
彼の腹の上に寝そべって水泳で鍛えられた腹回りをまさぐる。
腕枕して貰いながら何度か抱きしめられて密かに嬉しくなる。
ずっと触れたかった腕に触れて、暖かいお腹とその下にある臓器を感じて、愛おしくてたまらない。
海岸付近の居酒屋で美味しい海産物もたっぷり食べた。
「ミュウさん『帰りの電車で隣に座った人可哀そうだな。私砂だらけだもん』って言ってたけど、それ、俺だった!」と文句も言いながら、私の最寄り駅まで送り届けてくれた。
気持ちは満たされて充分だったけど。
もう言ってくれると思ってた「付き合おう」のひとことは聞けなかったし、言え!と強要出来なかった。
相変わらず将来の予定や今後の話はするんだけど。
別れ際に「何か言うことない?」と聞くと「次いつ会えますかぁ?」と言うSさん。
聞きたかったのはそれじゃないと言えなかったミュウさん。意外と自分は意気地無しで、彼への気持ちは戻れない所まで来ている事を客観的に知る。
次回はヨコハマ。
ちゃんと分かってないと思うけど、今、付き合ってないからね。と、次回は絶対言う。絶対。