私はなかなか生きもの観察が好きで、最近の温かい時期だと毎朝ランニングをしている風を装って近所の川を散歩している。(なぜかSさんは私が走っていると思っている)
桜が終わると5月に差し掛かるまでは木に咲く花は落ち着く。
私の好きな「酔芙蓉」の木はまだ丸坊主。
この時期は5月に向けて芽吹きだすので、その緑色を楽しんだり、草に着く花を見たり、活動的になる動物たちを見る。
クローバーが生えている場所をにらんで、よつばを探してみるけど見つけたためしがない。
こんなに最高に楽しいのに、なんでみんなやらないんだろうといつも思う。
はやくSさんをこれに連れて行きたい。早起き苦手そうだけど。
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その日は朝から晴れて、鳥もうるさく元気で、かなり早く起きた。
Sさんに伝えたい事が多すぎて、整理がつかずにいたら2日くらい連絡を返しそびれていたので「おはよう」だけおくって、満足して散歩に出かける。
少し風もあって、最後の桜の花びらが風で吹雪いて。花びらが流れこむ川と、そこにただよう海鳥ののんきさはこれ以上ない良い景色。満足。
桜のはなびらをたどってずっと川を眺めていると、中腹辺りに未確認生物がうごめく様子が見つけられた。
うーん。
一定のリズムで波立たせているから、無機物ではない。でも、海底から浮き上がって何かに引っかかって流れている漂流物の場合もある。
二拍子くらいのゆったりしたリズムで波立っているから魚でもない。
しばらく見ているとその波立ちの原因が川べりの方に流れてきた!生きてる!
大興奮で近寄ると、二匹のエイだった。
川沿いに越してから、かなりの回数川散策をしているが初めてエイに遭遇した!!
以前、川釣り叔父さんに「エイが居る」話は聞いたことあったけど。
ただ、このエイを朝から撮影して送るとなんか下心だしてる感じになりやしないか。
一瞬迷いながらSさんに投稿報告してみた。
「エイが居た」と送ったころ、ちょうど起きたらしく、直ぐに「おはよー。エイ?」「どこ?ここは川?ランニングで見つけたの?」「エイって川でもいけるのかしら」と返ってきた。
夕方、仕事がひと段落した時に送った
「そうです。朝ランニング中に川で見つけたアカエイの夫婦」には、夜、
「まさかの夫婦だったの!!写真じゃわからんかったです。」との返事。
元板前、生きものの知識に疎かった。
流れてきたエイを見た瞬間に私が「夫婦」と確信した理由はただ一つ。
この二匹のアカエイ、交尾をしている。
(正確には「これからするぞ!」とエイの旦那が嫁に噛みついて離さないで居るところ)
元板前、なんていじらしいお兄さんなんだろう。
なんで私が『エイの夫婦』だって言ったのか考えてみてって言ってみようか。
それは直接会った時に言ってみようか。