今日、4年間面倒を見てきた部下のF君が退社する。
彼にはかなり時間をかけてきたと思う。けど、F君からの退社の一報はチーム宛ての形式的なものだった。「所詮、大勢いる部下の一人だし。こんなもんかな。」
F君は可哀そうに、繁忙期とコロナで送別会などのセレモニーは一切なく送り出すことになり、あまりにも不憫だったので”みんなからという事”にして、F君の好きな観葉植物を昨日プレゼント。 私としては心残りはない。
退社の挨拶周りを終えたF君が私を探していると聞き、籠っていた作業部屋に呼びつけた。すると、
「今度、一緒にご飯に行きたいです。 お誘いしてもいいですか? その、プレゼントのお礼とかじゃなくて…」と、顔を真っ赤にして言いに来た。
一瞬時間が止まる。すぐに、あーいつも不安な時は相談しに来るもんなと思い出し「いいよ」「畏まらなくても、いつでも話なら聞いてあげるのに」と言うと
「違うんです。ずっと言いたかったんです。好きだから」
「後で個人の番号、メールします!」
若干にやけながら自分のスペースに戻って行った。
・・・行っちゃった・・・。
あざとい位の絶妙なバランスの不器用さと、幼さのある小さな顔で、男女問わず幅広くモテるF君。
韓国アイドルの様な細身で、イマドキ中のイマドキな26歳。
好きだと伝えたのにご飯に行くの?
どうして良いか困る私の仕事用スマホに、その夜F君の携帯番号が届いて。
私はいつも通り、からかった内容で深入りしない内容の返信をしておく。