「ミュウさん、梅酒好きですか?」から始まったF君との夕飯デートは、梅酒のおいしいお店ではなかった。梅酒は私への手土産プレゼントだった。
彼曰く「ミュウさんが梅酒が好きだって言っていた気がして‥」
確かに嫌いではないけど、私が好きなのは「梅酒を作る」こと。その話を覚え違えていたものの、わざわざ手土産付きのデートはいつぶりだったろう。
「家で一人呑みはしないけど、料理に使わずちゃんと味わうね」と告げるとその時は何か言いたそうにもごもごしていた。
2週間後は、私が前のめりで取り付けた公園ピクニックデートの日
1)天候不良の懸念がぬぐえない
2)昼間、友人とのビジネスの打ち合わせを私が入れた
この2つが要因で、ピクニックは延期。および、デート自体が大幅な内容変更の危機に。 これを上手にチャンスにしたのはF君だった。
「あ、それか、お家で梅酒をご一緒するのはどうですか?」との提案があった。
ここで彼が指す「お家」とは、私の家である。川沿い眺望のマンションを所有する私の家で、私の手料理を食べたいと言ってきた。
えー…下心見え見えな提案でも、元上司の権限でただの「夕飯会」にすることはできる。 急な訪問者が居ても困らない程度には片付けているし…。
でも、付き合ってはいない男の子を家に上げることに若干の抵抗感をおぼえつつ。
マル1日思案した結果「まぁ、いいよ」との返信。
F君から「やったー!」の返信。
とりあえず、包丁を研ぎに出しに行くことにした。