結婚相談所で結婚した女

平均の倍稼いでそこそこ見栄えのいいアラフォー。前半は8歳下彼氏、以降は結婚相談所と旦那Sさんとの結婚生活

ベトナムのニャチャン近郊 (好きな街の話

今週のお題「好きな街」

全く住みたいとは思わない街の話。「どんな街に住みたい?」という問いかけに反しているし、そこは「街」ではない。村にも至っていないような、「道に人が居る」というような場所。でも、私の価値観を大きく変えた「好きな街」の話。

 

10数年前、父の赴任先であるベトナムへ10日ほど行った。

ハノイから入り、当時の父の現場があるニャチャン近郊とホーチミンの3か所を巡った。

父は20年以上アジア各国を駐在していた人間で「その土地に入るには、その土地の物を食べる。そうすると顔と体臭が同じになって仲間になれる」と教えてくれた。

なので、駐在先へ訪問する時も現地の食べ物しか食べられない。 観光地だけではなく彼自身が目の当たりにした国の姿が見られる場所へ必ず一泊させられた。

ベトナムでの「一泊」がニャチャン近郊の、当時まだ観光開発が着手したての地域だった。

 

 ****

 

そこは沿岸部で、たまに海が見える痩せた土地が続く平地。

砂埃がひどい茶色の大地は「雨上がりの時はタイヤが嵌る」というお決まりのド田舎。海側には所々エビ養殖場(パット見は水田)が並ぶだけ。それ以外本当何もない。もちろん信号も電線も。

 

暫く車で走ると、見たことが無い建物がぽつぽつ見えてくる。

八畳ほどの床一面をコンクリートで打ち、地面から一段上げられた場所が作られ、その3辺が「コの字」にコンクリートで囲われている。屋根はトタンが渡されている。

開口された1辺には同じコンクリートで作られた2段ほどの階段がつき、そこに大人が座って道行く人を見ている。目が合うと笑ってくれた。

 

父曰はく「あれは『お金持ち』の家だよ」との事。

そこは、ベトナムの中でも最貧地域で、コンクリートの壁が1枚以上あり屋根がついているのは『お金持ち』。 コンクリートの床だけか、壁1枚だけが普通の家だという。

 

その道中運転してくれた通訳のお兄さんはその村の出身で、日本語がペラペラ。「僕の家は壁が無かった」「この辺は雨もあまり降らないし、熱いから、玄関と屋根が無い方がいいんだよ」と。

彼は村の中でも特に貧乏で「吹き溜まりのゴミを食べていた」という。

路地に吹き溜まったカスを食べた少年は、数年後外国の奨学金で大学へ行き、外国語を習得し父の通訳をしている。

 

私と全く同じ命を持っている通訳のお兄さん。私は同じ境遇で生まれていたらこうなれただろうか。

自分がいかに恵まれた環境に生まれたか、身に染みて感じることが出来た。環境を生かして、今できる事を全力でやらないと。

吹き溜まりがあれば大学まで行けるのなら、ベトナムまで行ける資金と時間がある自分ならもっと凄い事が出来るはず。

 

 ****

 

そう考え、帰国後に早稲田大学MBAを取得し社内に新しい部署を作りましたとさ。