「旦那が定年になったら離婚して、社交ダンスで素敵なパートナーを見つける」
「いま、食事は完全に別なんです。喧嘩したんで」
これはミュウさんの年上の後輩であり、私を『ミュウだ』と言った仲の良い女性の同僚G子の最近の口癖。
彼女は30歳の頃頑張って婚活をし、結婚。
2歳児の母であり二人目を授かりながら働く最強戦士だ。
プライベートでも仲のいいG子相手に何でも話すミュウさんで、私の婚活相手のSさんやJ君の事も彼女は知っている。
ただ、最近婚活相手の話をすると
「旦那が定年になったら離婚して、社交ダンスで素敵なパートナーを見つけようと思ってるんですよ」というようになったので、婚活の話を控えるようになった。
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彼女はいま、旦那への不満で満ちていて、本当は離婚したいほどらしい。
でも、子供もいるし。同じような心境の友達と「やっぱり、今は別れられないよね…って喋ったんですよね」という。
産休に入る前は旦那さんへの愛おしさを押し殺しながらも端々に感じるようなところがあったのに。
もっと前。結婚が決まって二人の新居を買って、二人で暮らし始めた頃は旦那さんのいろんなことを教えてくれた。のろけてくれて幸せがあふれていたのに。
不満に感じている話は聞くが「嫌い」「イヤ」のような直接的な言葉は耳にしない。
私が察するに、G子はまだ旦那さんを好きなのだと思う。
好きな人が、自分をもう好きじゃないのかもしれない不安、愛されない寂しさがあって、それをもう回復できないと思っているから、別のパートナーと出会えば自分は幸せになれる。と、思っているように感じる。
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心が優しく、自己開示が苦手なG子なので不満に感じたことを伝えられてないのかもしれない。お願いする前に、やってもらえなかった事に怒ってしまっているのかもしれない。
喧嘩したって、仲直りすればいいんじゃないのかなぁ。
ミュウさんとG子が職場で喧嘩になっても、G子がキレながら「お昼行きますよ!」と言ってくれる。で、私が食事の後にお菓子を一個奢る。そこで喧嘩は終了になる。
G子の生活の様子から、少し冷たい所がある旦那さんかな?と感じる部分も有るけど、経済観はしっかりしているし、全く気の合わない夫婦ではないとも思っている。
少なくとも生まれた子供は可愛がっている。
不安そうに「生まれてくる子が私に似ていたら、上の子しか可愛がらないかも」と漏らしたG子だが。
多分、旦那さんはG子の事を嫌いではない。今は少し好きな気持ちが減っているだけで、旦那さんもG子への不満をうまく伝えられていないのかもしれない。
「旦那が定年になったら離婚して、社交ダンスで素敵なパートナーを見つける」なんて。相手を見る事から逃げる方が寂しいんじゃないのかなぁ…