F君の現職は見習い広告マン。
プロモーションメディア系の広告部門に配属され、担当イベント時は土日祝日、泊まり込みの業務も少なくないとの事。
「それ自体は楽しみなんですけど…」言いよどむF君に、我が家の家訓「若い時は買ってでも苦労せよ」と言付けるが。
「ハロウィンはショウウィンドウ設営とかで泊まり込みなんですって…」と、いじけながらこちらをうかがう。
「クリスマスも一人で過すんですよ?」「年末年始とかだって…」
私の顔を覗き込みながら言う。けど「いいんじゃない?仕事内容は絶対楽しいと思うよ?」と返す。スッキリしない顔がこっちを見ている。
私の恋愛遍歴では、こういった催事を恋人と過ごしたことがほぼ無い。海外赴任者や経営者相手が多かったから。
F君の感覚なら、多分、それぞれの催事にそれらしい場所でそれらしいセレモニーを行いたいのだろう。いつも「イルミネーションとか見に行きたいんですけど、カップルが多くて行けないんです。」と言っていたから。
けど、そうは業務が許さない。F君は見習いなのだから。
「でもー、やっぱりクリスマスは一緒に居たいです」「…早く、偉くなりたい!」と何かを誓うF君。
まぁ、無理でしょう。
君より先に私が偉くなって、私が会えなくなるかもしれないけどね。
と、思った事は内緒。